婚約指輪はいらない?婚約ペンダントという選び方

白バラとダイヤモンドペンダント。婚約記念の手作りジュエリー

「婚約指輪はいらない」。この一言を受け取ったとき、いちばん大事なのは、その「いらない」がどの「いらない」なのかを確かめることです。この言葉には、少なくとも3つのまったく別の意味が入っています。仕事や生活の都合でつけられないのか。お金を使ってほしくないのか。指輪というかたちに思い入れがないのか。どれなのかで、次にやるべきことは変わります。この記事ではその3つを分けて整理し、あわせて「婚約ペンダント」という選択肢を、いいところも気をつけたいところも含めて、手作りの婚約指輪をつくる工房の立場から正直にお伝えします。

ダイヤモンドをあしらった婚約ペンダント。婚約指輪の代わりに贈るという選択肢
目次

「いらない」には、少なくとも3つの意味があります

同じ「いらない」でも、その奥にある気持ちはまるで違います。よくあるのは、次の3つです。

  1. つけられないから、いらない —— 仕事で外さなければならない、手を使う作業が多い、家事や育児で引っかかる。着ける場面がない、という話
  2. お金を使ってほしくないから、いらない —— 指輪そのものは嫌ではないけれど、そのお金を別のことに回したい、という話
  3. かたちに思い入れがないから、いらない —— 指輪という記号にピンとこない。もらっても嬉しさが想像できない、という話

この3つは、必要な答えがまったく違います。1なら「着けられる別のかたち」を探せば解決します。2なら「予算の置きどころ」を話し合えば済みます。3は、そもそも贈らないという結論も十分にありえます。

避けたいのは、どれなのかを確かめないまま、いきなり説得にかかることです。「いらない」と言った側は、たいてい理由まで言葉にしていません。まずは「どのあたりが引っかかってる?」と聞くところから始めたほうが、お互い納得のいく着地になります。

「つけられない」がいらないの正体なら——ペンダントという選び方

理由が1番、つまり「着ける場面がない」なら、答えはわりとはっきりしています。指ではないところに着ければいい、という話になります。その代表が、婚約ペンダントです。

ペンダントには、指輪にはない実際的な利点があります。

  • 服の下に入れられる —— 装飾品を控える必要がある職場でも、普段は襟元の内側にしまっておける
  • 手を使う仕事の支障になりにくい —— 手洗いが多い、工具や器具を扱う場面でも、指の邪魔をしない
  • サイズの制約がゆるい —— 指のサイズは体調や季節で変わりますが、チェーンは長さを調整できる
  • 小さなお子さんがいても扱いやすい —— 立て爪の指輪のように、抱っこで気を遣う場面が少ない

「本当は嬉しいけれど、現実的に着けられないから断った」というご相談は実際にうかがいます。その場合、ペンダントに置き換えるだけで話がまとまることがあります。

ただし、ペンダントにすれば全部解決するわけではありません。ペンダントにはペンダントの弱点があります。それは後ほど、いいところと並べて正直に書きます。

「お金を使ってほしくない」がいらないの正体なら——置きどころを変える

理由が2番なら、必要なのは「贈るか贈らないか」の議論ではなく、予算をどこに置くかの相談です。

結婚にまつわる支出は、婚約指輪だけではありません。結婚指輪、式、新生活と続きます。「婚約指輪を省いて、そのぶんを結婚指輪に寄せる」という配分は、不自然な選択ではありません。使う頻度の高いほうに厚く配分する考え方には合理性があります。

参考までに、結婚指輪の相場はこうです。リクルートブライダル総研の「結婚マーケット調査2025」によれば、結婚指輪(2人分・セット価格)の平均は32万1000円、最多価格帯は20万〜25万円未満で19.4%でした(n=289)。内訳は夫が16万4000円、妻が20万円です。

いっぽう婚約指輪は、同じ調査(本編67ページ)で平均43万8000円(n=258)。ただし最多価格帯は30万〜40万円未満で18.7%、10万円未満から100万円以上まで広く散らばっており、平均を目標にする意味はあまりありません。金額を決めるのは、石の大きさと品質、地金の種類と重量、加工の手間という3つの積み上げです。詳しくは婚約指輪の値段は何で決まるかへ。

もうひとつ正直に書いておくと、私たちも金相場の高騰の影響を受けています。田中貴金属の公表値で、金の年間平均は2020年の6,122円/gから2025年には17,302円/gへ、およそ2.8倍になりました。以前は10万円台でご案内できていた手作りの結婚指輪も、いまはペア30万円〜が目安です。私たちは幅・厚み・重量を見積りの内訳にすべて書いて、削らずにお出しする側を選んでいます。

「かたちに思い入れがない」がいらないの正体なら——贈らない選択も

理由が3番の場合。ここははっきり書きます。無理に贈らない、という選択は尊重されるべきです。

婚約指輪を用意しないカップルは実際にいますし、それで結婚生活に不足が出るわけではありません。「本当はいらないと思っているのに、世間体のために受け取る」ほうが、よほどもったいない。相手の言葉を額面どおり受け取るのは、失礼ではなく誠実さです。

そのうえで、「何も残らないのは少し寂しい」という気持ちが両方にあるなら、記念の残し方はいくつもあります。

  • 結婚指輪に集約する —— 婚約の分をひとつにまとめ、素材やデザイン、刻印に手をかける
  • 刻印で残す —— プロポーズの日付や、そのとき交わした言葉を内側に刻む
  • ふたりでつくる時間を記念にする —— モノではなく、一緒に手を動かした一日を記憶に残す
  • 石だけ先に用意する —— 指輪にするかペンダントにするかは、後日ふたりで決める
ワックス原型を削る手元。ふたりで手を動かしてつくる時間そのものが記念になる

ひとつ考えてみてほしいのは、「いらないのは指輪なのか、それとも“買ってきたもの”なのか」という点です。既製品にピンとこないだけで、自分たちで関わってつくったものなら話が別、ということはあります。

金額の目安だけ先に知りたい、という方へ。
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婚約ペンダントの、いいところと、正直に言っておきたいこと

ペンダントを検討するなら、両側を知ってから決めてください。

婚約ペンダント
いいところ服の下に入れられる/手を使う仕事の支障になりにくい/サイズの制約がゆるい/日常の服装に合わせやすい
気をつけたいところ婚約の証としての認知が指輪ほど定着していない/チェーンが絡む・引っかかる・切れることがある/留め具は消耗する部品

とくに正直にお伝えしたいのは、「婚約の証」としての一般的な認知が、指輪ほどには定着していないという点です。左手の薬指の指輪は、説明しなくても意味が伝わります。ペンダントにはその共通了解がまだ薄いので、ご両親や親族に「婚約指輪はどうしたの」と聞かれる場面は想定しておくといいかもしれません。ふたりで同じ説明ができればいい、というだけの話でもあります。

実用面では、チェーンまわりに気を配る必要があります。髪や衣服に絡む、シートベルトや抱っこ紐に引っかかる、細いチェーンは負荷がかかると切れることがある——このあたりは、太さや長さの選び方である程度カバーできます。留め具(クラスプ)も、開け閉めを繰り返せば消耗します。

また、結婚式で婚約指輪を使った演出が用意されている場合があります。検討中の方は式場に確認しておくと当日困りません。

100&1では、婚約ペンダントも手作りできます

私たちの工房では、婚約指輪だけでなく、婚約ペンダントも手作りしていただけます。つくり方は指輪と同じで、ワックスという素材を削って原型をつくり、長年の宝飾業界で培われた知見を持つ職人が鋳造・研磨して仕上げます。かたちも、石の留め方も、刻む文字も、既製品より自由に決められます。当日の様子は制作の流れにまとめています。

見積りの考え方も指輪と同じで、制作基本料・地金代・加工費の3層に分け、単価×数量ですべて開示します。石の大きさを変えたらいくら動くのか——その場で確かめながら決めていただけます。

さきほどの3番、「かたちに思い入れがない」に近かった方にも、この選択肢は関係があるかもしれません。買ってくるのではなく、自分の手で削った時間ごと渡す。それなら意味がある、と感じる方はいらっしゃいます。

工房のテーブルで相談するふたりとスタッフ。予算とかたちを一緒に整理していく場面

結局どうやって決めるか——ふたりで話したい3つの観点

私たちがおすすめしたいのは、次の3つを順番に話すことです。

1. 「いらない」の中身はどれか

冒頭の3つのどれに近いか。複数が混ざっていることもあります。ここが揃っていないと、この先の話は全部すれ違います。「つけられないだけで、もらうこと自体は嬉しい」なのか、「そもそも欲しくない」なのか。ここだけは遠慮せずに言葉にしてほしいところです。

2. 一年後、どんな場面で身につけているか

仕事中は? 休日の外出は? 家では? この問いに具体的な絵が浮かぶなら、そのかたちが正解に近い。指輪の絵が浮かばず、首元の絵が浮かぶならペンダント。どちらも浮かばないなら、無理に用意しなくていいというサインかもしれません。

3. 結婚全体の予算のなかで、どこに厚みを持たせたいか

婚約指輪単体で考えると判断がつきにくくなります。結婚指輪の相場や式の費用も並べて、「毎日使うもの」「一日だけのもの」「記念に残すもの」のどこに重みを置きたいかを話すと、決めやすくなります。

それでも意見が割れるなら、決めるのを急がなくて大丈夫です。プロポーズのときは気持ちだけ伝えて、かたちはあとからふたりで選ぶ——これも、まっとうな進め方のひとつです。

ペンダントを選べばサイズの悩みはぐっと軽くなりますが、やはり指輪を、という場合は婚約指輪のサイズをこっそり知る7つの方法が役に立つはずです。

よくある質問

婚約指輪の代わりに婚約ペンダントを贈るのは、非常識でしょうか?

非常識ということはありません。ただ、婚約の証としての認知は指輪のほうが定着しているため、ご家族や周囲に「婚約指輪はどうしたの」と聞かれることは考えられます。おふたりで理由を共有しておけば、その場で困ることはほとんどありません。

婚約ペンダントは、いくらくらいかかりますか?

石の大きさと品質、地金の種類と重量、加工の内容で変わるため、一律の金額はお伝えできません。参考までに、リクルートブライダル総研「結婚マーケット調査2025」では婚約記念品の指輪が平均43万8000円(n=258)ですが、10万円未満から100万円以上まで散らばっており、平均に合わせる必要はありません。100&1では制作基本料・地金代・加工費の3層に分けて単価×数量で開示していますので、ご予算をお聞かせいただければ、その範囲でどこまでできるかを一緒に組み立てられます。

婚約ペンダントも、ふたりで手作りできますか?

できます。指輪と同じく、ワックスという素材を削って原型をつくり、職人が鋳造・研磨して仕上げます。おひとりでつくって贈るときのサプライズにする形も、おふたりで一緒につくる形も可能です。工房は金沢・横浜の2拠点で、いずれも完全予約制です。

ペンダントのチェーンが切れたり、留め具が壊れたりしたら?

チェーンや留め具は消耗する部品なので、長く使えば傷むことがあります。直せるかどうかは状態によりますので、気になる点が出た段階でご相談ください。あとから見てもらえる先があるかは、どこでつくるかを選ぶときの判断材料になると思います。

「婚約指輪はいらない」という言葉は、拒絶ではなく、たいていは何かの事情の要約です。その中身をひとつずつ開いていくと、指輪でもペンダントでも、何も贈らないでも、おふたりが納得できる場所が見つかります。どれを選んでいただいてもいいと思っています。ただ、知らないまま決めて後悔する方が減ればいい、とは思っています。迷っている段階のご相談でも構いません。まずはLINEから、お気軽にどうぞ。

この記事を書いた人

三代 二栄のアバター 三代 二栄 アトリエ100&1 創業者

アトリエ100&1創業者。横浜生まれ。宝飾業界約40年、宝石店の企画・コンサルティング20年以上。手作り結婚指輪の仕組みをいち早く確立し、2009年に金沢で創業。3,000組以上の指輪選びに立ち会う。信条は「毎日着けて30年もつか」。

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