宝飾品に使う金属の割金
宝飾業界で当たり前に使われるプラチナ900(Pt900)が買う時高く、売る時安いといった変なルールがある事はあまり知られていません。
そもそも宝飾品に使われる金やプラチナは柔らかい素材なので合金にして硬度を高めて使います。
一般的な18金であれば、75%の金と残りの25%をシルバーや銅を混ぜています。
この25%の割金の割合で金色の見え方を操作して、赤金(濃い金色)青金(薄い金色)ピンクゴールド(銅の割合が多い)等、市場の18金にも色を付けて付加価値を高めています。
ホワイトゴールドと呼ばれる18金はその割金にパラジウムと言った素材を使っています。
パラジウムの存在
パラジウムは主にガソリン自動車の触媒として使われていますが、一部だけ金やプラチナと言った宝飾用金属の割金にも使われています。
そのパラジウムは10年で600%も価格が上がり、いかに自動車業界が伸びたかがうかがえますね。
原因としては中国などの消費拡大等も挙げられるでしょう。
近年(このブログは2021年4月29日に書いてます)の金・プラチナの価格を見てみると、金が6,865円/1g プラチナは4,772円となってます。
ではパラジウムはと言いますと、11,000円/1gを超える高値なのです。
同じ18金でもホワイトゴールドはその白さを際立たせるためにパラジウムの含有量を増やしたりしますが、結果パラジウムの量が多くなり、イエローゴールドやピンクゴールドと言ったいわゆる18金よりも価格は高くなります。
プラチナも同じ解釈ですね。
プラチナの価格の倍以上の価格のパラジウムが含まれてます。
当然、純プラチナであるPt1000よりPt900の方が高くなりますね。
買取になると消えるパラジウム
ところが、地金商社や町の現金買取業者などは、ベースになる金やプラチナ分しか計算しません。
割金のパラジウムはカウントしないのです。
何故?
割金がパラジウムだけでないからです。
よく耳にするハードプラチナはルテニウムと言う素材を2%位少量混ぜると硬くなる事から使われますが、パラジウムよりは安いのです。
更にルテニウムやイリジウムなどを割金に使ってる所もあります。
この様に割金の何を使ってるか分からないので、買取時は割金分はカウントしないのです。
そして割金と言われるいわゆる希少金属の高騰が、買う時高く、売る時安いっといった現象を引き起こしてしまうのです。
昔はパラジウムが未だ安かったので、古いプラチナ製品をプラチナ価格で買い集め、精練し直して、純プラチナと純パラジウムにして、その差額を儲けにしてる人もいます。
堂々と利益にしてるのは精練のできる地金商社ですね。
地金を売る時はパラジウムもしっかり計算されますが、製品になった後の買取は、割金が何使ってるのか分からないので、カウントしないので安く買い取ります。
さらに自社で精練したら、その割金分は全て利益!
貴方はどんな素材を望みますか?
だから私共では極力純度の高く硬度を高めたモノをお勧めしています。
業界には色々な不思議がありますが、あまり業界の方でも意識している方はいませんし、投資を常に考えてる人が結婚指輪を作時には悩むのでしょうか?
あなたの結婚指輪は何で作りますか?
私どもの様に生活に密着した結婚指輪や婚約指輪などを作る側からすれば、売る事はあまり考えたくないので、耐久性を一番に考えたいところです。
地金選択の参考になるかと思い、動画を作ってみました。