『お店でプラチナは傷付きずらいって聞いたけど、プラチナって傷付かないのですか?』
たまにそんな風に聞いてくる人いるけど・・・何で?そんな解釈してるんだろう?
結婚指輪を少しでも長く綺麗に使いたいとの表れなのでしょうね。
金属については色々誤解してる人もいるみたいなので、金属の硬さや、結婚指輪に使われる素材について、少し説明してみましょうね。
硬度の違い
一般的な素材として、プラチナ900と18金を例にしてみますね。
単に硬さだけを比べるなら18金の方が硬いですよ。
純金や純プラチナは金箔やプラチナ箔などに加工できるように非常に柔らかい金属なのです。
金属の硬度を計る基準の一つにビッカース硬度(Hv)というモノがあり、この数値が高いほど硬く強い金属となります。
因みに純金のK24では Hv35~70 平均50前後で、純プラチナはPt Hv50~110 平均70前後となります。差があるのは図る場所によって硬度が変わるからなのです。
その柔らかい金属を宝飾品として耐えられる強度を持たせるには異なった金属を足し合金にする必要があります。
そこでプラチナに10%の割金を混ぜ硬くしたのがプラチナ900で、15%の割金を混ぜたモノがプラチナ850となります。プラチナ900のビッカース硬度は Hv60~130 平均100前後に強化されます。
金に関しては24金が純度100%で、25%の割金を混ぜ硬くしたのが18金と呼ばれるモノになります。18金のビッカース硬度 Hv120~180 平均Hv130~150位になります。
14金は58.3%が金で残りが割金、10金は41.6%が金で残りが割金です。
この割金の割合が多ければ多いほど硬くなるのです。もちろん割金の種類によっても変わります。
例えば、同じ18金(金の含有量75%)でもイエローゴールドとピンクゴールド、ホワイトゴールドでは若干の硬度の違いがでてきます。
ピンクゴールドが一番硬く、次いでイエローとホワイトと覚えておくのが良いでしょう。ただ、その割金の種類や分量によっても変わるので、ある所の事例では、イエローの方が硬いと謳ってる所もあります。
純の段階では若干プラチナの方が硬いですが、単純にプラチナ900と18金では割金が18金の方が多いので硬くなるのです。
どこかの宣伝や結婚情報誌などで、プラチナは永遠の輝きとか、よく使う言葉だから、その永遠が刷り込まれて、その様にイメージしてるのかも知れませんね?
金属の粘りとかはプラチナの方が有るけど、そもそもの素材が違うから、一般の人がイメージしてる硬さを比べるとこういった結論となるのです。
最近ではハードプラチナとか云うものもありますが、普通のPt900がHv100前後で、ハードプラチナだとHv130前後になるので、若干硬くなる程度なのです。
職人曰く、硬くなった事で石を留めたり制作上での違いは特にないと、その硬さに首をかしげます。
豆腐の絹ごしと木綿を比べてる様な感じですね。
残念な事ですが、結婚指輪にどんな素材を使っても傷はつきます。
つき辛い!と言う人達も、そもそも何と比べてるのか?結局は他の結婚指輪としか比べていないのです。 結婚指輪の様に何十年も使うものに、それも毎日するモノです。1年もすれば、どっちがハードプラチナか絶対わかりませんよ。
最近流行の鍛造(たんぞう)と云う、金属を叩いて、硬くする手法があります。
昔の刀鍛冶の作りをイメージして下さいね。これは、熱して金属の分子が緩んだところを叩いて、分子を締めて硬くする技法です。相当硬くなりますが、素材によっても違いはありますが、ビッカース硬度でHv200程度です。
おぉ~初の200の大台になりましたね。でもね・・・残念だけど、そんな鍛造でも傷は付いてしまうのです。
日常生活の中には、ビッカース硬度Hv200を超えるモノはゴロゴロ存在しているのです。
結婚指輪の傷は夫婦の年輪と考えては如何でしょう?
宝飾業界が定期的なメンテナンスをお勧めしてるのも、そんなところからなのです。
オリジナル手作り指輪アトリエ100&1と東京浅草橋のアトリエ花風里では、お客様には18金をお奨めしています。
歴史に見る金
何故?
良い質問です!
太古の昔から、装飾品には金が使われていたのには意味があるからですね。
昔からとても貴重なモノとして人々は認識していたのですね。
金本位制という言葉も聞いた事が有るでしょう。
現在では金本位制から、管理通貨制度と変わっています。
古代から現代まで、あらゆる経済において金がとても重要な役割をになっているのです。
断っておきますが、私個人はプラチナやシルバーも大好きな素材ですよ。
業界の戦略
それと、つい20~30年位前かな?プラチナ相場が金相場の倍位の格差があったのです。
お婆ちゃんの指輪をイメージした時、金色の指輪をイメージしませんか?
当時は白い金属、プラチナはありましたが、あまり宝飾品には使われていませんでした。
世界ブランドであるティファニーやカルティエ等も当時は使っていなかったはずです。
奥ゆかしい日本人は派手な金よりも、落ち着いた白い地金の方が基本的に好きです。
古い考えかも知れませんが、昭和生まれはこう考える人が多いと思いますよ。
高度経済成長の折、少しづつ景気も良くなって、庶民のお金も回りだしたのでしょうね。
当時としては同じモノでも素材が変わるだけで、倍も価格が変わってしまうので、何とか売上を伸ばそうと、プラチナを売る販促がバンバン仕掛けられました。
もちろん、結婚関連の情報誌などにも・・・
TVでスイート10ダイヤモンドなんて云うのも記憶に新しいでしょう!
いつまでも腐食しない、変色しないのは金もプラチナも一緒です。
当時、欧米でプラチナを宝飾品として使ってるところは昔は実は無いのです。
今でこそ出てきていますが・・・先にも触れましたが、あのスーパーブランドでもです。
驚く無かれ、宝飾品でプラチナをこれだけ多く使っている国は日本くらいですよ!
皮肉なことに、現在では金がプラチナの価格を上回り、景気も国が良いと言ってる割には庶民はどんどん苦しくなってるような気がしますが、そんな折、プラチナが安ければ、自然とプラチナに目が向き易いですよね。
メンテナンスを考える
傷がつき辛い素材をと考える事も指輪選びでは重要な要素の一つでしょう。
その時に、特殊な素材や鍛造を選択したとしましょう。
特殊な素材や鍛造は、作った所以外では嫌がれるのです。治せないと言うより、扱いたくないのです。
例えば鍛造の指輪のサイズ直しをしたとします。
サイズを縮めるにしても大きくするにしても、切った部分をくっつけるのに、必ず火を使います。その時に、「焼きなまし」といって、地金の分子が元に戻り一般的な地金の硬度に戻ってしまうのです。
もし、鍛造を選択するのであれば、サイズ直しなどをどの様に対応してくれるのかも確認した方が良いでしょう。
子供が生まれたりしたら、体質が変わる女性も多いのですよね。
せっかく購入したのに、着けれなくなった!何て話し良くあるのですよ。
転勤で、買った所から離れる事も有るでしょう!
後々のメンテナンスを考えると、一般的に流通量の多い素材を使う方が良いと思いますね。
私共では硬度やメンテナンスも考慮して、基本18金をお奨めしてます。
もちろん、プラチナ等も対応していますので、ご安心下さいね。
私達の結婚指輪の考え方
オリジナル手作り指輪アトリエ100&1、アトリエ花風里では、お客さまが幸せの記憶を残したいか?が制作の最優先になるべきだと考えてます。
もちろん素材は、お二人の要望(デザインや予算等)で色々選べますが・・・結婚については色々な考えの人はいますが、『幸せの記憶を残す』をコンセプトに、二人が幸せで居続けて欲しい思いで、結婚指輪のお手伝いさせて頂いています。
その記憶の中に我々スタッフも加われる事が、何よりの幸せであり、それこそが、私達の仕事だと考えています。
だから、結婚の報告や子供が生まれると店に子供を連れて、生まれました~!って報告や遊びに来てくれるんです。
嬉しいですね。
2人の結婚指輪は硬度で選びますか?色で選びますか?
勘違いされてないですかね。
金の需要が伸びてる理由は装飾品や投資の需要が急速に拡大しているからであって、金需要の92%を占めています。
PCや携帯などに使われる工業用での金需要は技術の発展と共に減少し続けており、全体のたった8%しかありません。
宝飾業界よりも工業用に遥かに大量の金を使っているということはありません。
逆にプラチナは元来工業用で使われていたもので、今も需要の大半を占めるのは工業用になります。
自動車触媒、ディーゼル触媒が主な需要でしたが、先進各国の排ガス規制強化によりディーゼル車等の需要が減少、価格が暴落しています。
あまり間違った情報を発信されない方がいいと思います。
通りすがり様
コメントありがとう御座います。
完全に勘違いしていたようですね。
この部分は硬度について書いたモノですので、ご指摘の部分は削除させて頂きました。
その後私も調べさせて頂き、文献によって違うのかも知れませんが、金需要全体の宝飾用53%、工業用10%、小口投資30%、公的部門7%と勉強させて頂きました。
またご指摘などありましたら、遠慮なくお教えください。
その都度、確認修正させて頂きます。