シャンパンゴールドの結婚指輪という選択

内側に記念日を刻印したシャンパンゴールドの手作り結婚指輪

先に、いちばん大事なことを書きます。シャンパンゴールドは、規格で名前が決まっている地金ではありません。イエローゴールドとホワイトゴールドの中間あたりにある、黄色みを抑えた淡い金色。その色合いを指す呼び方として使われている言葉です。

だから、A社のシャンパンゴールドとB社のシャンパンゴールドは、同じ色とはかぎりません。ここを知らずに写真だけで決めてしまうと、「思っていた色と違う」が起こります。逆に言えば、この一点さえ押さえておけば、シャンパンゴールドはとても選びやすい色になります。

シャンパンゴールドで仕上げた手作り結婚指輪
目次

シャンパンゴールドは、規格で決まった地金の名前ではありません

金の指輪には「K18」「750」といった刻印が入ります。これは金がどれだけ含まれているか(品位)を表すものです。日本のJIS規格(JIS H 6309 ジュエリー用貴金属合金の品位)が定めているのも、この含有率の区分だけ。金合金なら375・585・750・916といった数字が並びます。

この規格が定めているのは品位(純度)だけで、色の名前は含まれていません。

では色名はどこで決まっているのか。日本ジュエリー協会の「ジュエリーおよび貴金属製品の素材等の表示規定」には色の表示という項目があり、イエローゴールド・ピンクゴールド・ホワイトゴールド・グリーンゴールドの4つは、割金の例つきで定義されています。たとえばイエローゴールドは「主たる割金の銀と銅の比率が4:6〜6:4程度の黄色みの金合金」といった具合です。

ところが、この表にシャンパンゴールドはありません。つまりシャンパンゴールドは、品位の規格にも、業界の色名の表示規定にも載っていない呼び名だということです。だからこそ、何をどれだけ混ぜてその色を出しているかは、つくり手によって変わります。

実際、シャンパンゴールドを扱うお店の説明を読み比べると、書いてあることが少しずつ違います。金75%に銀やパラジウムなどの白い金属を合わせる、という説明が比較的よく見られる一方で、割金の種類と比率を独自に調整した自社オリジナルの地金だと明記しているブランドもあります。金にプラチナを混ぜて色を出している例もあります。「材質の割合は、制作している工房やメーカーによって異なる」と、はっきり書いているお店もありました。

これは、どこかが間違っているという話ではありません。規格がない以上、そうなるのが自然だというだけです。

ですから、検討するときはこう聞くのがいちばん確実です。

  • その色は、何を何%混ぜて出しているのか
  • 品位はK18なのかK14なのか(刻印は何が入るのか)
  • 見積書の地金の欄に、その名前と品位が明記されるか

私たちが見積りの全項目を単価×数量で開示しているのも、こういうときのためです。地金は、名前ではなく中身で確認できたほうがいい。素材の考え方は料金・素材のページにまとめています。

では、どんな色なのか

言葉で説明すると、こうなります。

イエローゴールドの黄色みを、いくらか引いた色。かといってホワイトゴールドのような白でもなく、金の温かみは残っている。黄色と白の、あいだ。シャンパンという名前は、あの飲みものの淡い色から来ています。

ピンクゴールドと比べると、赤みがない分だけ落ち着きます。プラチナと比べると、ほんのり体温がある。光の当たり方で見え方が変わりやすいのも特徴で、屋外の自然光と、室内の白い照明と、夜の暖色の灯りで、それぞれ違う顔をします。

3色(イエロー・ピンク・ホワイト)の基本的な違いから知りたい方は、先に結婚指輪のゴールド3色を比べるを読んでいただくほうが早いかもしれません。シャンパンゴールドは、その3色の地図がある程度頭に入ってから見に行くと、位置がすっと分かります。

なお、プラチナとK18のどちらにするかで迷っている段階なら、色の前にプラチナと18金、どちらを選ぶかが先です。素材が決まらないうちに色だけ決めても、話が戻ってきてしまいます。

この色が選ばれる理由を、正直に言葉にすると

「選ぶ人が多いから」とは書きません。私たちに数えられないことは書かないことにしています。そのかわり、工房でシャンパンゴールドを選ばれた方が実際に口にする理由を、そのまま並べます。

1. 主張しすぎない

イエローゴールドは、はっきりとした金色です。それが好きで選ぶ方も当然いますが、「仕事中もつけたい」「手元が派手になるのは避けたい」という方には強く感じられることがあります。シャンパンゴールドは、その一段手前で止まる色です。金であることは分かるけれど、遠目には目立たない。

2. 冷たくならない

では白ければいいかというと、そうでもありません。プラチナやホワイトゴールドの白は、きれいですが、人によっては手元が硬い印象になります。温度が少し残っているほうが好き、という感覚は、実際に着けてみると分かります。

3. 手持ちのアクセサリーと喧嘩しにくい

腕時計、ネックレス、ピアス。すでに持っているものがゴールド系とシルバー系で混ざっている方は少なくありません。シャンパンゴールドは中間色なので、どちらの隣に来てもぶつかりにくい。ここは実利です。

4. 毎日着けることが前提の色

結婚指輪は、外さない人が多い指輪です。10年後も違和感なく手元にある色か。そう考えると、静かな色のほうが安心だ、という判断は理にかないます。

肌になじむかどうかは、最終的にはご本人の手で見るしかありません。ここだけは、誰の意見も代わりになりません。

婚約指輪でも成立します

シャンパンゴールドは、結婚指輪だけの色ではありません。婚約指輪の地金として選ぶこともできます。

シャンパンゴールドで仕上げた婚約指輪

ダイヤモンドを留める場合、白い地金のほうが石が白く見える、という考え方は確かにあります。一方で、あえて温かい地金に留めて、石とのコントラストを楽しむ選び方もあります。シャンパンゴールドはその中間なので、石を白く保ちつつ、指輪全体は柔らかい印象になります。

結婚指輪と婚約指輪を重ねづけするつもりなら、2本の色をどう組み合わせるかを最初に決めておくと迷いません。同じ色でそろえる、あえて変える、どちらも成立します。ほかの作例は制作事例でご覧いただけます。

金額の目安だけ先に知りたい、という方へ。
見積りシミュレーターなら、地金代と加工費を分けた概算をその場で出せます。来店の前に、数字だけ確かめておくこともできます。相談だけでも大丈夫です。

決める前に確認しておきたい3つのこと

良いところだけ書くと不誠実になるので、注意点も並べます。

1. 取り扱いのあるお店が限られます

規格の名前ではないので、すべてのお店に用意があるわけではありません。カタログに載っていない場合もあります。まず「扱っているか」から確認する必要がある色だ、という点は、イエローやプラチナと違うところです。見に行く前に問い合わせておくと、時間の無駄がありません。

2. 写真と実物のズレが、他の色より大きく出やすい

これがいちばん大事です。シャンパンゴールドは淡い色で、しかも光で見え方が変わります。カメラの設定、照明、画面の色味。どれか一つずれるだけで、印象は簡単に動きます。ウェブで見た色と店頭の色が違った、というのは、この色ではふつうに起こることです。

必ず実物を、自分の手に乗せて見てください。できれば窓際の自然光と、室内の照明の両方で。数分でできることですが、後悔の量がまるで変わります。

工房のショーケースに並んだ指輪のサンプル

3. 将来の修理・サイズ直しで、同じ色を出せるかを聞いておく

配合が店ごとに違うということは、その配合を持っている工房でしか、同じ色を足せないということでもあります。サイズ直しで地金を継ぎ足すとき、色が合うかどうか。何年か先に修理が必要になったとき、その地金がまだあるか。

購入前に、「サイズ直しや修理のとき、同じ地金で対応できますか」と一言聞いておいてください。答えられるお店なら安心ですし、答えにくそうなら、そこがひとつの判断材料になります。サイズ直しそのものの考え方は結婚指輪のサイズ直しにまとめました。

あわせて、硬さと変色についても。金合金の硬さは割金で変わります。K18を基準にすればHV120〜150あたりが目安ですが、シャンパンゴールドと呼ばれるものすべてがK18とはかぎりませんし、割金が違えば数値も動きます。「シャンパンゴールドだからこう」と一括りに言えるデータを、私たちは持っていません。変色のしやすさも同じで、金の割合と割金しだいです。K10クラスまで下げたときに何が起きるかはK10の結婚指輪という選択肢とK10は変色するのかで扱っています。

金属アレルギーが心配な方は、割金の中身がそのまま関係します。パラジウムやニッケルが入るかどうかは必ず確認してください。考え方は結婚指輪と金属アレルギーにあります。

それでも色が決まらないときは

シャンパンゴールドが気になっている方は、たいてい「イエローは強い、ホワイトは冷たい、ピンクは可愛すぎる」という三方向の不満を抱えています。その不満の置き場所として、この色があります。

順番としては、こうするのがおすすめです。

  1. まずゴールド3色の比較で、イエロー・ピンク・ホワイトの違いを頭に入れる
  2. そのうえで、シャンパンゴールドの実物を、3色の隣に置いて見る
  3. 手元で数分、光を変えながら眺める

比べる対象がないまま単体で見ると、淡い色は判断しづらいものです。隣に何かを置いた瞬間に、答えが出ます。

つや消しや槌目といった仕上げも、色の印象を大きく変えます。質感まで含めた選び方はデザイン・種類のページにまとめました。色と一緒に考えてみてください。

100&1では、ふたりで原型(ワックス)を削り、長年の宝飾業界で培われた知見を持つ職人が鋳造・研磨して仕上げます。地金は見積書に品位も重量も明記します。名前ではなく中身で選んでいただきたいからです。

よくある質問

シャンパンゴールドはK18ですか?

K18のものが多いようですが、規格で決まった名称ではないため、品位はお店によって異なる可能性があります。刻印に何が入るか(750なのか、それ以外か)を、購入前に必ずご確認ください。

シャンパンゴールドとホワイトゴールドは何が違いますか?

どちらも金に白系の割金を合わせたものですが、シャンパンゴールドのほうが金色みを残した淡い色として案内されることが多い色です。ただし配合は店ごとに違うため、同じ名前でも見え方に幅があります。並べて見比べるのが確実です。

写真で見た色と実物が違うのが心配です。

その心配は正しいです。淡い色は撮影条件と画面で簡単に変わります。必ず実物を手に乗せ、できれば自然光と室内光の両方でご覧ください。

サイズ直しのとき、同じ色に直せますか?

その地金の配合を持っている工房であれば対応できます。配合が店ごとに違う素材なので、購入前に「サイズ直しや修理は同じ地金でできるか」を確認しておくと安心です。

金属アレルギーがあっても選べますか?

割金に何が使われているか次第です。パラジウムやニッケルの有無を確認してください。詳しくは結婚指輪と金属アレルギーをご覧ください。

シャンパンゴールドは、名前がふわりとしているぶん、確認すべきことがはっきりしている色です。何を混ぜているか、品位は何か、あとから同じ色を足せるか。この3つを聞ければ、あとは実物を見て、好きかどうかを決めるだけになります。

色で迷っている時間は、悪い時間ではありません。ふたりで「どっちが好き?」と話す時間そのものが、後から思い出になります。急がずに、手元で確かめてから決めてください。ご相談だけでも構いません。

この記事を書いた人

三代 二栄のアバター 三代 二栄 アトリエ100&1 創業者

アトリエ100&1創業者。横浜生まれ。宝飾業界約40年、宝石店の企画・コンサルティング20年以上。手作り結婚指輪の仕組みをいち早く確立し、2009年に金沢で創業。3,000組以上の指輪選びに立ち会う。信条は「毎日着けて30年もつか」。

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